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未来科学の平行世界 第4章 大中華合衆国への道 その⑦ 

 日本の官邸にある緊急対策本部では、安堵のため息が漏れていた。
 そして、何んにもできなかったことへの深い失望感で覆い尽くされていた。

 その顛末はおおむね想定通りであり、筋書きに大きな狂いはなかったようだ。そう、すべては米国大統領とのホットラインにおいて確認済みのことであった。
 とはいえ、もしわずかな手違いがあって、核ミサイルが日本の国土に着弾するようなことがあったなら、千万人クラスの死が引き起こされることは予想されていたのである。
 しかし、そのことについて、日本の政府は何もすることができなかったのである。
 自分たちは、政治家でありながら、ただ座って祈ることしかできなかった・・・。
 その現実は、彼らにして相当なダメージを与えていたのである。

 それに加えて日本の指導層は、主なる戦いの相手が中国ではなかったということを自覚せざるを得なかった・・・。
 それは、国内にある根強い左翼思想であり、社会主義的なる考え方、そしてそれに基づいて政治行動をする一群の日本人の存在だった。
 それは、大きな政府を中心に据えた国民総公務員化を理想とする集団であり、非武装平和論をとなえる唯物論信者と一体をなしていた。

 彼らの主張とはすなわち・・・、

「戦争をして命を失なってしまうぐらいなら、白旗をあげて降参し、命乞いをしてでも生き延びる道を選択しなければならない」

「日本の国など無くなっても一向にかまわない。伝統的なる日本の歴史が中国の属国となることで潰えてしまっても、自分の生命が温存できるのならそれでもいっこうにかまわない」

「地上で死なずに生き残ること以上に守るべき価値などあるはずがない。もし、そんなものがあるなんて言うやつがいるなら、そいつは間接的に我々の命を奪う危険因子になる。だから、力で押さえつけてでも、きゃつらの意見を引っ込ませなければならないし、大人しくして、発言できないようにしなければならないのである!」

 というような考え方を標榜する勢力である。

 すなわち、
「この世の生命の危機さえ回避できればそれで良いのだ! 死なないこと。それこそが目標とすべき最小不幸社会の実現であって、そんな世界を現実にプロモートしてゆくことこそが政治の仕事なのである」

 そのような考えは、思想的には唯物論であることは間違いない。
 地上生命の温存、すなわち五欲の満足と肉体的生存こそが至上の価値であり、それを超える価値の存在を認めない。そういった人々の集合想念・・・。

 肉体として生き、うまいものを食い、快楽の中を快適に平和に生きる・・・。
 それが人間の幸せだと考えているのである。
 
 しかし、それがすべてではない。
 完全に間違っているとは言えないが、本来の人間の思いはそんなところでとどまるものものではないのである。

 動物として生存する以上の価値を、自らの人生の中に求める。
 動物的生存以上の価値を求めるからこそ、人間としての人生が輝きを増すのである。
 そのようは、形而上の目的や使命があるからこそ、動物的な生命の生存が重みを持ち、大切に生きてゆきたいと願うのである。
 だからこそ、安易に死ぬことが惜しくなり、自分に与えられた生命を大切にしてゆきたいと願うのである。
 しかし、その前提としての価値が否定され、無きものとされようとする場合にあっては、この地上生命と引き換えにしても・・・、そう仮に自分の肉体生命を失うことになっても・・・守るべき価値を守ろうとするのである。

 そう、命よりも大切な、”人”としての尊厳がある。
 命を捨てても守らなければならない価値があり、仲間があり、集団があり、国があって、歴史がある。
 自分の命を尽くしても守らねばならぬ神の正義があり、神の理想がある。
 それが信仰という二文字に込められた、重大な意味なのである。

 それは、希望に向けての自由を求めるものである、夢に向けての自由を求めるものだし、神に向けての自由という意味でもある。
 その”自由”を守ることこそが、人間として真なる幸福への道なのだ。

 神によって同じく創られた、人間としての平等。
 そして、真に人として歩んでゆく自由・・・。
 その結果、到達し得た心の境地の高下によってはかられる、死んだのちにも存続する”永遠の生命”が、神へと進化してゆく度合い・・・。

 人間が動物的人間を超えるための条件。

 物質や物欲を超えた価値観。

 目に見えず手で触れられない、それゆえに、信じて受け入れる以外にない形而上的なる価値。それは、物理的に直接証明が不可能であるがゆえに、感じ、推定し、確信するしかない概念によってつくられた世界。
 直感し、直覚し、素直に信じ、素直に受け入れ、その価値に殉じてゆく・・・。

 それゆえに、人間は人間であることが許されているのである。

 だからこそ、人間が、万物の霊長として、他の動物から別格扱いされるのである。

 それを信じ、それを念じて、その理想をこの世の中に押し通してゆこうとする時に、地上世界の変革が最大の力をもって立ち上がってくるのである。
 その力は、唯物論を滅ぼすもの。
 その力は、人間をして真実に目覚めさせるもの。
 目に見えない価値観を知り、それを守り、その内容を実践することで、真に幸福な世界を創らんとする方向へと人々が導いてゆく・・・。

 愛こそが、神の願い。愛こそが、神の奇跡。
 愛に基づく寛容なる心で、各人の違いを認め、その違いをより高度なる価値観のもとへ集結し、統合し、止揚させ、新たなる幸福として解き放ってゆく・・・。

「命に変えても守り抜かなければならない価値がある!」
「愛するがゆえに、為さねばならぬことがあり、それを何としても断行する!」

 この簡単なことに、多くの日本人を目覚めさせたのである。

 核ミサイルによる世界滅亡の危機は、その後の国際政治をも大きく変えていった。
 日本にあっても、実効的な軍事的防衛力を構築するための大きな推進力となり、それを支える思想的基盤ともなっていった。
 そして、日米同盟に基づいて、北と南の守りとして、潜水艦発射型弾道核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を、日本政府の国権たる指揮命令系統によって100%自主的に運用できるような形で配備することにも成功した。
 対外戦略において、国家への不満を外に向けること、特に日本に向けることで国内の安定化の原理としていた習近平中国共産党政権は、日本の国のこのような変化によって深刻なる打撃を受け、乱立していた武装独立都市に大きな状況変化を生み出されていったのである。

 変革の力は、中国国内への内部改革へと一気に噴き出してゆくことになった。

 香港の独立に始まった中国各省の分離独立運動。

 共産党一党支配の中核たる北京政府の瓦解。

 習近平の捕縛。

 そして、大中華合衆国としての再統合へと、時代が大きく揺れ動いていったのである。

 安倍首相は、そのすべての過程を振り返りながら、心の底から納得していた。
 そう、すべては、国内問題でしかなかったのだ・・・と。
 国民全体の、心の問題でしかなかったのだなと・・・。

 自らの心を変えることが世界を変える!

 それが、普遍的な真理であることを、心の底から感得していたのである。

 そして世界は、新時代へと大きく船出していったのである。
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青の錬金術師

Author:青の錬金術師
ご訪問くださり、まことにありがとうございます。
このブログでは、幸福の科学の信者として、エル・カンターレ文明建設に資するべく、様々な新しい視点や発見などを提供してゆきたいと考えています。
私といたしましては、科学と宗教を融合してゆくユニークなサイトにしたいと志しています。

御愛好のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
1962年生まれの薬剤師です。

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